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2008年6月

6月のゲストは美学研究者の藤井雅実さん。
80年代に神田で活動を展開した「画廊パレルゴン」の主宰者であり、
美学・哲学にとても精通された方です。
藤井さんには来月開催されるシンポジウムでも
パネリストの一人としてお越し頂く予定です。
今月の現場研では7月に開催されるシンポジウムに向けて
パレルゴンという命名の由来や80年代美術の状況についてお話し頂きました。

「パレルゴン」という画廊名は、ジャック・デリダが75年に発表した
論文タイトルから引用された名前だそうです。
「作品が作品として存在する条件をつくりだすための、見えてはならない切り取り線」。
そんな意味があるのだとか。
特異な理念をもった画廊であることがよくわかる命名ですね。

藤井さん作成によるレジュメが配布されたのですが、
これがまた凄い資料なんです!
ひとつは80年代ニューウェイヴが勃興から最盛期に到るまでの年表、
もうひとつは戦後から2000年代に到るまでの思想的見取り図。
まだ作成途中とのことでしたが、複層的な視点を備えたマトリクスはたいへん刺激的なものでした。
シンポジウムの準備としてさらに精度を上げていくとのこと、完成が楽しみですね。

年表を辿り、80年代ニューウェイヴを検証する上で欠かせない展覧会を抑えながら
当時の状況を解説するかたちでレクチャーが進行しました。
評論家が特定のスペースと共同して自主企画展を行うケースも多かったのだとか。
何人かの批評家の名前も挙がりましたが、
藤井さんは作家が直感的にポストモダン的な基盤を作っていったことにも注目されているようです。
言説や思想に惑わされず現場を検証する視点が必要なのだと
改めて感じました。

パネリストの作家さんや批評家の方も加わって、議論はヒートアップ。
このつづきはシンポジウム本番で…ということになりそうです。
皆さん、7月6日はぜひ京橋区民館に足をお運びください☆☆☆(星三つ!)
(M・N)

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