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2010年11月

「現場」研究会では、コバヤシ画廊における「諏訪直樹没後20年追悼展 twenty years ago - 黙契の歳月」(2010年9月13日-9月25日)の開催と連動してHP上で諏訪直樹特集を掲載した。今月の「現場」研究会では、同特集にエッセイをよせていただいた方々のうち岡村桂三郎、市川裕司、大沢卓也の三氏をお迎えして、諏訪直樹についてお話をうかがった。

1990年、諏訪直樹は、カヌーによる川下りの途次、水難事故に遭った。だが、彼の残した作品と言葉は、現在に至っても人々に影響を与え続けている。上記展覧会の出品作家である岡村氏は、諏訪直樹から「日本画とは、何だ」と問いかけられ、それが彼の人生に大きな影響を与えたという話をされた。また市川氏と大沢氏は、彼ら後年の世代にとっての諏訪直樹とは何か、そして今も続く影響について、みずからの作品を参照しつつ語られた。

諏訪が作家として活動した時代は、「絵画」という形式自体が問い直されるさなかにあった。そのような時代にあって、彼は現代美術という地平に岩絵の具や屏風や軸物といった日本古来の支持体を導入することで状況に衝撃を与えた。西洋の絵画とは異なる位相を、これによって示してみせたのである。ディスカッションでは、諏訪の「日本」と「西洋」の捉え方をめぐる問題や、「絵画」と「絵」という概念にまつわる議論など、彼の作品の変遷を軸に活発な議論が行われ、たいへん充実したものとなった。


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