complex
mailto「現場」研究会について今月の「現場」研究会
archiveart scenepress reviewart reviewessaygenbaken reporttop

2011年5月

KOTOBUKIクリエイティブアクションの活動について――河本一満氏(総合プロデューサー)、橋本 誠氏(プロジェクトディレクター)を迎えて

 

今月の「現場」研究会は、横浜の寿町を舞台に展開しているアートプロジェクト:KOTOBUKIクリエイティブアクションの総合プロデューサーである河本一満氏とプロジェクトディレクターの橋本誠氏をお招きし、プロジェクトについて様々な角度からお話いただいた。

JR石川町駅から徒歩数分の位置にある寿町は、東京の山谷、大阪の釜ヶ崎と並ぶ三大ドヤ街の一つ。戦後の高度経済成長期に日雇い労働者向けの簡易宿泊施設(通称:ドヤ)がつくられ、血気盛んな単身男性労働者が多く生活していたこのまちは、現在では住人の高齢化が進み、人口のおよそ8割は福祉を必要とする高齢者や生活保護受給者という状況になっている。

KOTOBUKIクリエイティブアクションはこれまで、「ドヤのまち寿町からアートを発信」をキャッチコピーに、若い作家たちが町内で何度となく様々な制作活動やイベントを行なってきた。
ドヤなど町内の建物に作品を展示したり、広場でパフォーマンスをしたり、まちの人々と語らったり・・・その活動は様々だ。最初から簡単にまちの人々とコミュニケーションが成り立っていたわけではない。が、徐々に回を重ねるごとに少しずつ関心をもってもらえたそう。
寿公園の改修も行われ、まちの住人と対話を重ねた結果、炊き出しなどこの町特有の状況に沿った公園が実現したりもした。

こうしたなかで、河本氏はKOTOBUKIクリエイティブアクションの活動をとおして「まちはホスピス」という考えをもっている。
まちの住人にとって寿町は「終の棲家」でもある。三疊一間というドヤの個室だけでなく、まち全体が彼らにとってのホスピスになったらという構想だ。
もちろん一朝一夕にできることではなく、河本氏も橋本氏も一過性でない長期的なスパンで物事を捉えている姿勢に頼もしさを感じた。


inserted by FC2 system